越前ガニ(ズワイガニ)のブランド化の戦いをちょっとだけ斜めに見る 安くズワイガニを食べる方法
越前ガニのブランド化について福井新聞にこんな記事が
越前がに(ズワイガニ)の漁が福井県内で6日に解禁され、スーパーマーケットなどの店頭を彩りだした。中でも昨年から売り出した最上級ブランド「極(きわみ)」は、グルメ垂ぜんの的。今季の初競りでは、37万円の最高値を付けた。しかし、県外では、130万円というとんでもない値段を付けたズワイもあるという。全国の「越前がに」のライバルたちの動向を探ってみた。
福井新聞Webサイトより http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/echizenkani/109294.html
福井新聞の記事によると、越前がにのブランド化を進めているけど、新しく越前がにのブランド「極(きわみ)」が37万円の値を付けてすげーって言ってるけど、全国を見ると同じズワイガニで130万円の値段を付けてるのもあるよと言うこと。
越前ガニにタグをつけたり大きさや重さでブランド化
越前ガニにタグをつけたりして、他のズワイガニとの差別化をはかっていたわけです。でも、近年ではどこのズワイガニの産地も自分たちの色を決めてタグをつけるようになり、タグにはあまり価値が出なくなっていたのも実情です。
そこで、最近ではある一定の条件をクリアした越前ガニにだけ与えられるブランドができました。それが「極(きわみ)」なわけですが、条件として
甲羅幅14・5センチ以上、重さ1・30キロ以上。さらに「漁業者が『極』だと判断しても、仲買人が同意しないと最終的には『極』のタグをはずす」
とのこと。
越前ガニの大きさや重さだけではなく、仲買人が認めないと極の称号が与えられないわけです。これは大きさと重さだけではなく、足などの形なども関係するらしく、水揚げされる越前ガニのほんの一握りしかこの「極」という称号はつけられないようです。
この「極」ブランドが全体的に越前ガニの価格を底上げしているようですね。そして、越前ガニは漁師さんたちの取り扱い方もいろいろと気を使っているとのことです。
でも、越前ガニの味は大きさや重さだけじゃないわけです
越前ガニ(ズワイガニ)は大きさや重さが味を決めているわけじゃないわけです。大きさとか重さを求めると希少性が高くなりますが、大きいから美味しいと言うわけでもなく、ズワイガニはズワイガニです。そうです、大きくて重いものが美味しいズワイガニと言うわけじゃないんです。
越前ガニは都会での知名度も高く、ズワイガニのトップブランドかと思われます。ただ、トップブランドであるがゆえに値段も高くなってしまいます。
越前ガニと同じ漁場の石川県産ズワイガニという選択も
高いイメージのある越前ガニですが、お隣の石川県産ズワイガニとほぼ同じ漁場だと言うのをご存知でしょうか?(参考:ズワイガニ.jp)そうです、水揚げされる港によって越前ガニだったり、加能ガニだったり、松葉ガニだったりするわけです。同じズワイガニなのに水揚げされる場所が違うと言うだけで値段も大きく違っているんです。
※:同じ漁場という表現について:鯖江のお寿司屋さんから指摘があったのですが、船によって漁場が違うと言うこともあり、同じ漁場という認識は違うのではないかということです。
越前は泥状の海底。石川は砂っぽい海底なのだそうです。最近では、三国が船の数が少なくなって、廃業した船の権利を越前の船が買う事もあるようで、私が仕入れている仲買い人さんは、「この船のかには三国の権利を買ったので気をつけてかわなあかん」等、船によっても操業する海域は多少変わるそうです。
漁場によって食味が違うということが越前ガニミュージアムの館長さんの記事にあります。
参考:建設コンサルタンツ協会誌247号 http://www.jcca.or.jp/kaishi/247/247_toku7.pdf
この部分については具体的な味の違いについてのエビデンスを見つけられません。
石川県産ズワイガニが品質が悪いと言うわけは全くなく、単にブランディングで越前ガニが値段が高くなっていると言う仕組みを知っている人にとっては、同じズワイガニをより多く食べようと思ったら、越前ガニではなく石川県産ズワイガニでも良いわけです。
さらにこんなに安くズワイガニを食べる方法も
石川県産ズワイガニが越前ガニに比べて安く手に入ると言うこともあるのですが、さらに安くズワイガニを手に入れる方法があります。それは足折れなどのズワイガニを買うことです。普通なら1万円近くする雄のズワイガニですが、足が折れてしまっているものはかなり格安で入手することが可能です。ぼくも実際にいつも、福井の割烹さんが足折れのズワイガニを仕入れたのをFacebookで見てそれを注文したりしています。
ちなみに足折れズワイガニで上の写真のものが9,000円でした。
楽天などでも、わけありズワイガニとかって売ってますね。足だけが多いですが、せっかく食べるなら甲羅にあるかにみそとか食べたいですよね。(それでもっちょっと高い気がするけど)
ちなみにぼくはこんなカニ釜めしを作ったりしました。これで雄のズワイガニ2杯分入ってます。
こんなカニ釜めしなんて贅沢だって思うかもしれませんが、足が折れてたなんてわからないですよね。もちろん普通にカニの姿のまま食べるときには足が1本ないなってわかるけど、それでもたった1本足が折れてるだけで格安なズワイガニになるわけですから、これは絶対にお得ですよね。
と言うわけで、極(きわみ)とか越前ガニをブランド化して、より高く売ると言うのは漁業者にとっては大切なことかもしれませんが、大きさや重さ、形などを気にしなければそんなに高いわけでもなくズワイガニを食べることができるので、カニ好きの方はいろいろと探してみるといいかも。
ちなみに福井のこのホテル割烹石丸さんってところは、越前ガニの食べ放題じゃないですがズワイガニの食べ放題もあるのでおススメです。